綿麻帆布の紹介

綿麻帆布(めんあさはんぷ)の魅力

6月に入り徐々に蒸し暑い日も増えてきました。いよいよこれからが夏本番。夏祭りや花火大会、コロナ禍で中止になっていた楽しいイベントも再開されるようになり、にぎわいが戻ってきたなと感じます。

さて本日は、加瀬鞄工房でも定番の素材となった「綿麻帆布(めんあさはんぷ)」についてご紹介させていただきます。



こちらのトートバッグショルダーバッグに使用している生地は、岡山県倉敷市の児島で90年以上の歴史を誇る「荻野製織」で丁寧に織られた綿麻帆布になります。



生地の目がぎゅっと詰まっていてとても丈夫なのに、すごく軽い。
この生地で仕立てたかばんを手に取った時の最初の感想です。


「しっかりとした厚みがある生地なのに、どうしてこんなに軽いんだろう。どうやって、この生地は作られているんだろう。」今まで扱ってきた帆布とはまるで違う綿麻帆布にすっかり魅了されました。

この生地が織られているところを見てみたい。


いつしかそんな想いが芽生え、いざ岡山県倉敷市は児島へ。
千葉県から岡山県まで車でおよそ10時間くらい。
「晴れの国 おかやま」とサービスエリアのマップに書いてあったのですが、まさにその名の通りの、雲ひとつない快晴が広がりとても気持ちのいいお天気でした。



この大きなデニムの看板を見てハッとされた方もいらっしゃるかもしれません。
そうなんです、デニムで有名なあの「児島(こじま)」でこの綿麻帆布は織られています。


念願の荻野製織株式会社さまへ到着。
たくさんの生地のサンプルが並んだ部屋で、生地についてとても丁寧に説明していただきました。



綿麻帆布が、今ではとても貴重なシャトル織機で丁寧に織られていることや、シャトル(写真の木)を作れる職人さんが日本国内ではほとんどいなくなってしまったというお話。



最近では環境に配慮した生地を生産する取り組みなど、昔から受け継がれてきた「生地を織る」ということで、常に新しいチャレンジをされていることを知りました。

そして、生地が織られている工場も見学させていただきました。お忙しい中、貴重な時間を作っていただき、本当にありがとうございます。

細く繊細な糸が何本も撚り集まって太い糸となり、織機で生地へと織られていく。たくさんの工程を経て作られていくとても大変な作業。
生地の製造工程は何度見ても驚きますが、貴重なシャトル織機で織られる帆布工場を見るのは初めてだったのでとても感動しました。
今では数が少なくなってしまったシャトル織機で手間と時間を惜しまず織られているから、生地の目がギュッと詰まった軽くて丈夫で上質な生地ができます。



すっかり夢中になって工場を見学しているときに、あの謎の答えも教えていただきました。綿麻帆布の軽さの秘密は糸です。綿の糸だけで織られている帆布はそれなりに重さが出てしまうのですが、麻の中でも特に軽いジュート(コーヒーの麻袋がジュートです)の糸も使って織っているから、この軽さと丈夫さが実現したそうです。



写真では音が伝えられないのですが、シャトル織機の動く音は今でも忘れられません。ガッシャン、ガッシャン、ガッシャン、とにかく大きな音で、隣で話していても声がかき消されてしまうくらいの迫力ある音でした。


見学させていただいた時は、加瀬鞄工房でも使っている綿麻帆布が織られているという絶好のタイミングでした。


「この綿麻帆布は、シャトル織機で1日一反(約25mほど)しか織ることができないんですよ。」さらっと説明のときに仰られた言葉にとても驚きました。
とても貴重な生地、今まで以上に大切にそして無駄なく使っていくぞと心に誓いました。


生地が織りあがってきました。1本の糸から丈夫な生地になるまでの工程は、迫力があり目が離せませんでした。機械と職人さんが力を合わせてようやく完成する「綿麻帆布」。上質な質感と、どこか温かみのある素材感は、この環境だから実現できるのだと思います。



↓織られた生地が並んでいるところ

丁寧に、しっかりと織られた生地はここから旅立っていくんだな。
生地に恥じないものづくりをしていかないと、そんな気持ちになりました。



工場見学のあとに行ったうどん屋さんの「しょうゆうどん」が、これまた絶品でお腹も心も満たされた1日となりました。



私たち夫婦は、生地がないとかばんを作ることができません。

当たり前のことですが、素材を作ってくださる方がいて、その素材のおかげでモノづくりをすることができる。その先に、使ってくださるお客様がいる。
誰が欠けても、どこかが欠けても成立しなくて、みんな繋がっている。
帰り道、そんなことを想いました。

この生地を使ってたくさんかばんを作りたい、一人でも多くの方にこの生地の魅力を伝えたい。
まだまだ作りたいデザインがたくさんあるので、焦らず一つ一つ形にしていきたいと思います。

荻野製織株式会社のみなさま、とても貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

本日ご紹介した綿麻帆布を使ったバッグシリーズは下記からご購入いただけます。
気になられた方はぜひご覧ください↓

https://kase-kaban.com/collections/frontpage

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